内容証明が届いている
従業員から内容証明郵便が届いた場合、依頼を前提としない場合であっても早急に弁護士に相談すべきでしょう。
たとえば、従業員からの通知に「〇日までに要求に応じない場合は、労働審判の申立てを行う」と記載している場合、会社側にとって簡単に応じられる要求であることは少ないでしょう。しかし、会社側が「そのような要求は不当であり応じられない」と回答する場合は、「労働審判」という手続に入ることを想定しなければなりません。
労働審判とは、労働者と会社双方の言い分を裁判官及び二人の労働審判官が聴取し、解決を図る裁判所の手続です。労働審判は通常の裁判(訴訟)と異なり、迅速に労働問題を解決することを大きな目的としているため、原則として申立てから40日以内に第1回期日が設けられ、申し立てられた相手方は第1回期日より10日前には「答弁書」という申立てに対する主張を書面にして提出しなければなりません。従業員から労働審判を申し立てられた会社にとって準備期間は最大でもわずか1ヶ月ほどであり、通常の業務を行いながら対応するのは非常に大変なことが多いと思います。
このような法的知識を有さずに内容証明郵便に自分本位で対応してしまうことは危険であり、会社にとって思わぬ不利益を及ぼす可能性があります。
従業員との労働問題は会社に利益をもたらすものではないため、なるべく問題発生を予防することが重要であり、発生してしまった場合は早期に解決することが肝心です。そして、問題を早期に解決するためには、従業員から訴えがあった際、最初にどのような対応をするかが非常に重要です。
内容証明郵便の通知が届いた時点で弁護士に相談すれば、会社側にとって「このような回答をすることで、従業員側がこのような対応をする可能性がある」というように予測がつきます。「〇日までに要求に応じない場合は、労働審判の申立てを行う」という回答について対応を弁護士に相談しておけば、実際に労働審判を申し立てられた場合も速やかに弁護士と対応を検討することができます。