労基署の対応に困っている
労働基準監督署とは、労働関連の法的な規制を監督するために置かれている国の組織です。各都道府県に存在し、直接監督にあたる職員である厚生労働監督官には会社側を監督するために特別な権限が与えられています。
従業員が労働基準監督署に「残業代が支払われていない」「パワハラと思われる行為がなされている」など職場の問題を訴えたことをきっかけとして、労働基準監督官による立ち入り調査や呼び出し調査がなされる場合があります。労働基準監督署からの是正勧告など文書指導がなされる場合もあります。
是正勧告に法的な強制力はありません。しかし、労働基準法の違反には刑罰が定められており、悪質な違反であると判断される場合には罰金が科される等刑罰を受ける可能性があります。
また、会社の環境に不満をもって労働基準監督署に相談をした労働者にとっては、中立的な国の機関が「この状態は改善しなければならない」という判断はいわば「お墨付き」となりうるものであり、会社が十分な改善を行わない場合には弁護士を立てての交渉や訴訟などの具体的な請求行為を従業員側から行ってくる可能性があります。
労働基準監督署からの連絡があったら、まずは何が問題であると見られているのかを正確に把握し、迅速かつ真摯に対応することが大事です。たとえ、会社に落ち度がないと考えられる場合であっても、労働基準監督署は一応の確認のために連絡を取ってきているということを自覚し、落ち着いて対応することが望ましいと言えます。可能であれば社会保険労務士や弁護士等専門家への相談や立会い要請をした方が無難だと思われます。